今回は米粉に関する水分のお話をしたいと思います。
生のお米(うるち米/もち米)を粉砕して作る米粉の場合、一般的に水分値12%前後を目標に製造します。
麻生圓兵衛商店でも、上新粉や餅粉を製造する際、この水分値を目安に仕上げます。
水分値を適性にすることにより、微生物の繁殖を抑え米粉自体の保存性を高めるとともに、実際に使用する時の作業性が良くなります。
米粉はそれ単体で使用することは少なく、水や砂糖・蜜、その他食材・添加物と混ぜて加工しますので、適性な水分を含む米粉だと親和性が高まる訳です。
以上のように米粉の水分管理は非常に大切な工程ですが、どうしても水分調整が安定しない、難しい種類の粉があります。
それは寒梅粉・落雁粉と呼ばれる粉(米粉の一種で、干菓子等に使用される)。
寒梅粉と落雁粉は上新粉・餅粉とは違い生の状態では粉砕せず、蒸したり焼いたり熱をかけながら製造していきますが、工程内で熱がかかるので、その分乾燥し通常よりも水分値は低くなってしまいます。
その為、水分値を上げるよう水分を加える工程が必要となります。
この工程がなかなか難しく、目標とする基準までお米の品質や季節・気候を考慮しながら加える水分量を調節して仕上げをおこないますが、思うような水分値に達しないことが多くあります。
そこで麻生圓兵衛商店では品質を安定させる為に、エージングをおこないます。
エージングといっても、ただ倉庫で一定期間置いておくだけで、特に何もしません。
要は寝かせている状態です。
粉は紙(クラフト)の袋に入っていますので、自然と外の湿気が粉の中へ取り込まれ、次第に水分値が上がり、しっとりとしていきます。
エージングの期間は最低でも2週間、理想は1ヶ月程度で、まさに製品の最終仕上げの工程と言えます。
麻生圓兵衛商店では様々な機器を用いて米粉製品を作っていますが、最終的には時間が製品の品質を安定させてくれます。
自然の力は不思議なものですね。
3月といえば桜餅のシーズンですね。麻生圓兵衛商店では連日桜餅に使用する道明寺粉の生産に追われています。
当社の道明寺粉は関西風の桜餅(もち米で餡を包むタイプ)に使用され、3月3日の雛祭り~桜の咲く時期にあわせ、全国の和菓子屋様・問屋様へと連日出荷しています。
道明寺粉とは蒸したもち米を乾燥し粉砕したもので、大きさによって丸粒・2ツ割・3ツ割・4ツ割・5ツ割・6ツ割などに分けられます。
元来は糒(干し飯)として使用され、大阪にある尼寺、道明寺で作られたことがその名の由来とされています。
麻生圓兵衛商店では良質な国産水稲もち米だけを使い、手間ひまかけた昔ながらの製法で道明寺粉を作り続けています。
25kg・5kg入袋の他、1kg小袋も対応致します。