麻生圓兵衛商店では関西風桜餅の原料となる道明寺粉を製造していますが、ここではその製造工程を簡単に紹介します。
①原材料となる国産水稲もち米を精選・精米します。
②洗米して米糠やその他異物を洗い流します。
③一晩水に浸漬して水分を含ませます。
④たっぷりの蒸気で蒸し上げます。
⑤蒸したもち米を乾燥機に入れ、一昼夜かけてじっくりと乾燥させます。
⑥乾燥したもち米を粉砕機を使って、徐々に細かくしていきます。
⑦シフター(篩い機)で丸粒~6ツ割まで大きさ別に分けていきます。
⑧色彩選別機を使用して、着色米やその他異物を取り除いて完成です。
この中で、麻生圓兵衛商店が最もこだわっているのは、⑤の『一昼夜かけてじっくりと乾燥させる』の部分です。
その昔、現在のような乾燥機など無い時代、道明寺粉は天日で乾燥し作っていました。午前中から日が沈むまでじっくりと太陽の光で乾燥させていたのです。
しかし現在、このような製法は気候の影響を受けやすく、実際の菓子需要にも対応していない為おこなわれていません。
時代が進むにつれ、製造方法が効率化され、多くのメーカーでは短時間で製品化するような設備が整っていますが、その反面、短時間での乾燥によってもち米本来の風味や食感が損なわれているのも事実です。
麻生圓兵衛商店では短時間での大量生産はせず、もち米にダメージがかからないように、一昼夜かけてじっくりと乾燥させます。
手間も時間もかかりますが、このことによって風味・食感の良い道明寺粉ができあがるのです。
米粉製品は自然からの恩恵を受けて作るもの。
麻生圓兵衛商店ではできるだけ昔ながらの製法で、風味をいかした製品作りを心がけています。
3月3日の雛祭りから桜の花が咲く頃までが桜餅のシーズンで、この時期、和菓子屋さんやスーパーなどの店頭で良く見かけます。
麻生圓兵衛商店では、関西風の桜餅に使用する道明寺粉を生産していますが、ここでは桜餅に関するお話を少ししたいと思います。
ご存知の方も多いと思いますが、桜餅には関西風と関東風の2種類があります。
関西風は道明寺粉(蒸したもち米を乾燥して粉砕したもの)で餡を包みますが、関東風は薄く焼いた小麦粉生地で餡を巻いたもので、見た目も食感も異なります。
関西風の桜餅で使用する道明寺粉は、大阪府藤井寺市にある道明寺という尼寺で保存・非常食の糒(干し飯)として作られたのがその名の由来とされ、関西近畿地方では道明寺と言えば桜餅を意味するほど食文化として定着しています。
〔道明寺粉を使用した関西風桜餅〕
一方、関東風の桜餅は隅田川の向島に長命寺という寺があり、その門前で小麦生地の桜餅を売り出したのがきっかけで、こちらも長命寺の呼び名が桜餅の意味を持つようになったと言われています。
〔小麦生地を使用した関東風桜餅〕
明治18年3月に創業した麻生圓兵衛商店は今月で127年目を迎えます。
これもひとえにお客様・関係者の皆様のおかげと厚くお礼申し上げます。
5代目が製粉業を始め、戦後は政府の指定を受け小麦や米穀の製粉を主業としていましたが、その後、小麦の製粉からは撤退し米粉製造に特化することとなりました。
その傍ら、米粉製造で培った独自のアルファー化技術を応用し、大手メーカーのベビーフードの委託生産を請け負い、米粉部門と離乳食部門が両輪となって会社が成長していきました。
現在10代目。時代の流れもあり全盛期に比べ需要量は減っていますが、こんな時代にこそ原点に立ち返って本来の自然で風味のある製品作りを徹底し、米粉の良さを伝えることが大切な役割だと考えております。
今後とも麻生圓兵衛商店をよろしくお願い申し上げます。
創業期の麻生圓兵衛商店
現在の麻生圓兵衛商店